スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
白髪を後ろでひとつにまとめ、横に流した前髪の下にある彼女の瞳は私を真っ直ぐ射抜くように見ていて、再び声を発する。
「黒く陰湿なものが、あなたを覆わんとしているのが見える」
何だか不穏な事を口にしているけど、これは……
「あの、私……?」
自分のことかと声にしながら指差してみると、おばあさんは小さく、けれど確かに頷いた。
い、陰湿って、それはもしやストーカーの悪いオーラ的な!?
ていうか、このおばあさん何者!?
占い師、とか?
「陰湿って、何が原因なんですか?」
何だかわからないけど、生まれてしまった得体の知れない恐怖に戸惑い思わず問いかけた。
するとおばあさんは真顔でゆっくりと頭を振る。
「何かはわからない。でも、やがてその黒いものに全てが覆われる時が来るのも見える。けれど、大きな光がそれを払いのけるでしょう」
「大きな、光……」
よく、わからないけど、とにかく助かるということだろうか。
それなら安心──
「だが、その光もまた別の黒いものを呼び、あなたを覆い尽くすそうとするでしょう」
できそうにないし!