スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


「でも、この前の話では黙っている代わりにって」

「じゃあ追加だ」


ええええぇっ!?

フェアじゃないんですけどっ!

社長も強引なところあるけど、遺伝?

むしろワガママプラスで遺伝して──


「俺の恋人になれ」

…………


「……はい?」


今、何と?


「必要な時だけで構わない。会社ではその必要はないと思うが、万が一必要になった場合は会社には隠していると伝えれば問題ない」

「え? ん? 待って待って、待ってください」

「なんだ」

「なんだ、じゃないですよ。恋人って何ですか!」

「だからそのままの意味だ。もちろん偽装だが」

「偽装? 嘘の恋人ってことですか?」

「そうだ」


当然のように答えた識嶋さんが説明してくれたのは、縁談の話だった。

どうやら最近になって識嶋さんのお母様が縁談の話を持ち掛けてきたらしい。

けれど識嶋さんは今結婚することにメリットがないと感じていて、断りたいのだと。


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