スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-

Floor 7



どんな時でも彼はブレない。

家の中でも冷静沈着で、横柄で。

そしてそれは社内でも遺憾ながら発揮されていた。


「二番煎じはいらない」


今現在も、会議室で別のプランナーが提案したプランをオブラートに包むことなく不要だと言い放ったところだ。

自分のプランを否定されたプランナーはシキシマのプランナーではなくフリーランスのプランナーで名を大島俊彦という。

大島さんは眉間に皺を寄せて何が気に入らないのかと識嶋さんに詰め寄った。

彼は勝気な性格で、局内でも度々バトルしている場面に遭遇する。

実は、今日の打ち合わせでもしかしたら識嶋さんとひと悶着あるのではと心配していたのだが……


「すべてだ」


不安は的中してしまった。

大島さんは怒りを露わに自分の絵コンテを識嶋さんに突きつけるようにして見せる。


「僕は僕なりの拘りとアイデアを」

「拘り? これは他社の飲料水のCМにそっくりなんだが」


識嶋さんが声にした途端、大島さんは目線を彷徨わせ始めた。


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