スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
──週明けの月曜日は、少しだけ頭の回転が悪くなっている気がする。
世間では休みボケというのであろうそれに、今の私の場合はストーカーのこともあって脳はすでにお疲れモードだ。
そんな時こそスムーズに仕事を済ませて帰宅したいのだけど、どういうわけかそういう日に限ってトラブルは起こるようで。
「すみません、高梨さん。僕のせいで……」
風でも吹けば流されてしまいそうな声で私に頭を下げる後輩、内山君に私は笑みを向ける。
「大丈夫。気にしないで」
給湯室の中、オロオロする彼に言葉を掛けながら、スカートに広がる茶色いシミを水で濡らしたハンカチで拭く。
内山君が申し訳なさそうに頭を下げる理由はこのシミが原因だ。
さっき、給湯室から出ようとした私と、入ろうとした内山君がぶつかってしまって。
しかも彼の手には飲みかけのコーヒー。
飲みきる手前の少ない量な上、冷めていたのは幸いだった。
本当にすみませんと何度も謝る内山君に、私はもう謝らなくていいようにと仕事の話を振る。
「そういえば、例の予算的に厳しいのかな?」
「あ、はい。そう、みたいです」
「そっか……なら、練り直しかなぁ……」
自分で振った話題だけど、今度は私の方が肩を落としてしまう。