スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
──息苦しさに目を覚ましたのは、どれくらい時間が経ってからだろう。
カーテンの向こうにはまだ光はなく、夜中であろうことは理解できた。
けれど、時計を確認するということにまで頭が回らない。
それほどに、私は朦朧としていた。
どうやら熱が出てしまったらしい。
しかも、かなり高いやつのようだ。
力の入らない手足を必死に動かし、どうにかベッドから起き上がると、ベッドに転がっていたミネラルウォーターに口をつける。
そして、喉を鳴らしながら一気に飲み干すと、再び呼吸を荒くしてベッドに体を預けた。
……このまま寝てはダメだ。
水分だけは枕元に置いて補給しないと。
思い直し、せっかく横にした体をまた頑張って起こす。
肩で息をしながら立ち上がり、ふらつく足で薄暗い廊下に出た。
視界が定まらず、壁に手をつきながらゆっくりと前に進む。
いつもより長く感じる廊下を歩き、ようやくたどり着いたキッチンに入ると、熱い息を吐きながら冷蔵庫を開けた。
庫内から解放されたひんやりとした空気が気持ちいい。
真冬に温めたカイロのごとく火照った手を伸ばし、新しいミネラルウォーターを手に入れるとゆっくりと踵を返す。
そして、ゾンビのように体を揺らしながら部屋に戻ろうとした時だった。