スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
モノトーン調のダイニングテーブルとお揃いの高級感溢れる椅子に私の体がぶつかってしまい、夜中だというのに大きな音を立ててしまった。
識嶋さんの部屋はリビングの向こうだ。
眠りの浅い人だったら起きてしまうような音だった為、申し訳ないと思いつつ椅子の位置を直して、また壁伝いに部屋へ戻ろうとした直後。
「夜中に何を騒いでる」
寝起きであろう、識嶋さんの気だるげな声が聞こえてきた。
「すみま、せん。ぶつかってしまって……」
熱のせいで呼吸が落ち着かずうまく話せない。
それでもどうにか簡潔に説明すれば。
「熱が出たのか」
私の様子に勘付いたのか、当てられて。
私は壁に寄りかかると小さく頷いた。
「でも大丈夫です……寝れば下がりますから」
言い終えたのが先か、私の足が床から離れたのが先か。
気付けば私は、識嶋さんに米俵を担ぐかのように抱きかかえられていた。