スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
第2章
Floor 9
興味の幅を広げるのはいいことだと思う。
特に、クリエイティブな仕事をしている場合、それは武器となる。
もちろん、好きなことをとことん掘り下げてそのエキスパートになるのもいい。
恋愛も似たようなところがあるように思う。
たくさんの人と恋をし楽しむ人もいれば、一途に一人だけをずっと想い続けていく人もいる。
私は仕事に関しては前者の考えだけど、恋愛となれば後者のタイプだ。
だから、軽い恋愛ばかり繰り返す人の気持ちは理解できない。
そんな人と恋愛をしたいとも思わないし、好きになったこともない。
私が好きになるタイプは誠実で真面目なタイプが多かった。
多かったと言っても、人数は片手で足りる程度だけれど。
仕事にも一所懸命な人がいい。
尊敬できるというのも重要だ。
その点で言えば、現在、出社した私の目の前で爆睡している相馬先輩も好みのタイプではある。
でも、ときめいたことはないので、私の中で相馬先輩は恋に落ちるには何かが足りない人なんだろう。
……と、朝からこんな思考になっているのは今請け負っている仕事のせいだ。
大手デパートの広告を”恋を着る”というテーマで考えているのだ。
今日もストーリーを練らなければと今日の予定を頭で描きながら、私は淹れてきたコーヒーを先輩の眠るソファー横に置かれたコーヒーテーブルに置いた。