スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


「先輩、時間大丈夫ですか?」


今日の予定では、相馬先輩はクライアントとの打ち合わせがあるはずだ。

声をかけると、ソファーで自分の腕を枕にしている先輩の瞼が震えた。


「んー……ああ、高梨か」

「おはようございます。コーヒーどうぞ」


コーヒーテーブルを指差せば、先輩はコーヒーに気付きありがとうと寝起きの掠れ声で言ってからプラスチックのカップに口をつける。

と、その直後、先輩がくしゃみをひとつして鼻をすすった。


「風邪ですか?」


昨日までの自分を思い出して、まさかうつしてしまっていたのかと心配になる。

先輩は「どうかな」と気にした様子もなく答えてから、突然意識を覚醒させて私を見た。


「風邪といえば、一昨日あいつに聞かれたんだよ。おかゆの作り方」


あいつ、とは誰を指しているのか本来なら問わなければならないところなんだけど、私には十分心当たりがあった。

けれど、名指しされていない為どう反応していいのか困っていると、相馬先輩は何やら楽し気に「女か」と予想し始める。


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