スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-

Floor 11



一陣の風が吹き、舞い上がる葉につられるように見上げた青い空には飛行機雲。

日曜日の昼時、私は夕飯の買い出しがてら、ウィンドウショッピングをしていた。

もうすぐ梅雨に入る時期。

どこのお店も夏を意識した商品が並んでいる。

爽やかな色合いが多い街並みの中を人並みを縫うように歩いていたら、知ってる人がこちらに向かってやってきた。

彼は私には気付かず、隣を歩く女性と会話をしていて。

彼女だろうか。

でも、彼女がいるという話を聞いたことがない私は、それなら見なかったことにする方がいいのかと悩む。

けれど、意外にも私に気付いた彼の方が気にした様子もなく声をかけてきた。


「高梨! 偶然だな」

「相馬先輩、こんにちは」


立ち止まり軽く会釈をすれば、爽やかなマリンシャツにバスクシャツを肩にかけた先輩の隣に立つ、ふんわりとしたうさぎのようにかわいらしい女性が私に綺麗なお辞儀をした。


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