スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
「はじめまして。西園寺 優花(さいおんじ ゆうか)と申します」
ソプラノの透き通るような声で挨拶をされ、私は慌てて頭を下げる。
「高梨美織です、はじめまして。相馬先輩には会社いつもお世話になってます」
顔を上げると、西園寺さんは黒目がちな瞳を細め、奥ゆかしさを感じさせる笑みを浮かべた。
「そうなんですね。孝太郎先輩は会社でも面倒見がいいんでしょうね」
薄桃色のしっとりとした唇でふふふと優雅に笑えば、相馬先輩は「面倒見てるつもりはないんだけどな」と肩をすくめて。
「あ、高梨、昼飯はもう食ったか?」
「え? いえ、まだです」
「なら、俺らと一緒に食べないか? で、この辺りのいい店知ってたら教えてくれ」
いつもランチへ行くような気軽なノリで誘われた。
「いえいえ、さすがにデートの邪魔はできませんよ!」
馬に蹴られてはたまらないと、顔の前で両手を振って遠慮する。
と、二人は同時に両眉を上げてから顔を見合わせて笑った。
「え? え?」
なぜ笑うのかわからずに二人を交互に見ていれば、相馬先輩が違う違うと笑いをこらえながら説明してくれる。