スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


今日の夕飯はお好み焼きだ。

夕べ、食事中の会話の中で食べたことのないものは何かと聞いたら、食べたことはあるけど久しぶりに食べたいと思うものがあると言われて。

それが、お好み焼きだった。

子供の頃はよく食べていたそうで、私が作ってくれるというならそれがいい、と。

なので今、ダイニングテーブルにはホットプレートが置かれていて、その鉄板にはもうすぐ焼き上がりそうなお好み焼きが二つ並んでいる。

心なしか、向かいに座っている識嶋さんがそわそわしているように見えるのは気のせい──


「まだ焼けないのか」


ではないらしい。


「あと一分待ってください」


大きなヘラを持ち、私が答えると識嶋さんはおとなしくお好み焼きを見つめる。

うん、こういうところは可愛いなって思うんだよね。

普段きつい人だから余計そう思うのかもしれないけど。

ようやくお好み焼きが焼き上がり、ソースとおかか、マヨネーズに青のりを、識嶋さんに確認しながら乗せていく。

仕上がったものをヘラで切り分けて識嶋さんのお皿に乗せれば、彼は僅かに嬉しそうにしながら箸を手に持った。

そして、一口食べると「うまいな」と言ってまた口に運んでいく。

満足そうな彼に続き、私もお好み焼きを頬張って。

二枚目を焼いて少しした頃、ふと識嶋さんの箸が止まる。


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