スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
「……高梨」
「はい」
「その……昨日のは、本気か?」
昨日のとはと一瞬考えて、すぐに思い当たった。
「お友達、やっぱり嫌ですか?」
ふざけるなとか、やめてほしいとか。
そんな話をされるのかと落胆しかけた私の耳に届いたのは。
「俺は、多分お前の友人向きの性格ではないだろう」
どこか不安げな声。
「友人になっても互いの為になるとは思えない」
突き放す言葉の中に見え隠れする優しさ。
彼は多分、自分の性格のせいで私が嫌な思いをするだろうと言いたいのだ。
つまり、理解してる。
自分の立場も、振る舞いも。
それならきっと、その心次第でいい方向に動くはず。
ならば、立候補した私の答えはひとつだ。
「むかついたらむかついたって言ってもいいですか?」
「そ、それは俺にか?」
「そうです。あなたの言葉や考え、態度が悪かったら、友人として」