スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


「……高梨」

「はい」

「その……昨日のは、本気か?」


昨日のとはと一瞬考えて、すぐに思い当たった。


「お友達、やっぱり嫌ですか?」


ふざけるなとか、やめてほしいとか。

そんな話をされるのかと落胆しかけた私の耳に届いたのは。


「俺は、多分お前の友人向きの性格ではないだろう」


どこか不安げな声。


「友人になっても互いの為になるとは思えない」


突き放す言葉の中に見え隠れする優しさ。

彼は多分、自分の性格のせいで私が嫌な思いをするだろうと言いたいのだ。

つまり、理解してる。

自分の立場も、振る舞いも。

それならきっと、その心次第でいい方向に動くはず。

ならば、立候補した私の答えはひとつだ。


「むかついたらむかついたって言ってもいいですか?」

「そ、それは俺にか?」

「そうです。あなたの言葉や考え、態度が悪かったら、友人として」


< 82 / 202 >

この作品をシェア

pagetop