スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-
それは別に反撃だとか、識嶋さんを傷つける目的ではない。
一度向き合うと決めたなら、友人であるなら、友人の間違いを指摘してあげるべきだと思うから。
「大丈夫です。言いたいことが言える関係でいられるなら多少ぶつかったって。そんなことで簡単に友達関係の放棄もしません」
尊重しながらも、大事なことから目を背けない。
押し付け過ぎず、見ないふりをしすぎず。
支えてあげたい。
不器用さと真面目さの中に優しさを隠した、識嶋さんを。
「あ、焼けてますよ。おかわりどうぞ」
お好み焼きを切り分けて、ヘラから識嶋さんのお皿にうつす。
すると、彼はふいに瞳を和らげ。
「変な女だな」
褒めてるのかけなしてるのかわからないこと言った後。
「でも、嫌いじゃないよ、お前のこと」
緩く目を閉じ、微笑む。
滅多に見られないであろうその穏やかな表情と、言われるとは想像もしていなかった好意を含んだ言葉に、私の心臓は壊れそうなくらい早鐘を打っていた。