スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-

Floor 13



結婚を考えている女性なのか。

どちらの令嬢なのか。

いつからのお付き合いなのか。


識嶋さんは、この三点をお母様に尋ねられたらしい。

電話口でもお母様がイライラしている様子が感じ取れたようで、識嶋さんはとりあえずどう転ぶかわからないながらも刺激しないように答えた。

その内容が……


同じ会社のプランナーで、アメリカに出張にきた時に出会っていて、自分のことをとても理解してくれている人物なこと。

令嬢ではないが、仕事ができるので自分にとっても会社にとっても価値があるということ。

結婚ももちろん視野にいれていること。


『今度機会があれば会わせるよ』


そう言って、まだ渋る母親にストップをかけたんだそうだ。

けれど、それでも一度は先方に会いなさいと押され、どうにも逃れられない雰囲気に仕方なく会うだけならと了承したと、識嶋さんが昨日、寝る前に報告してくれた。


『とりあえずは断るお膳立てはできた。あとはまた必要な時に頼むぞ』


言い残して自室へと戻る識嶋さんの背中を思い出し、私は会社の自分の席に座りながら深い息を吐く。


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