スイート・ルーム・シェア -御曹司と溺甘同居-


今後必要になるのって、どう考えてもプレッシャーが半端ない場合しか思いつかない。

お母様に挨拶をしないといけない展開とか、胃に穴が開くレベルだ。

まだ痛んでいないはずなのに、なんとなくお腹を擦ったと同時。


「お前は亀なのか」


隣の席から識嶋さんのきつい言葉が聞こえて、私は手はパソコンのキーボードに添えたまま顔だけ動かして様子を見た。

隣の席では麻衣ちゃんが肩を前へと丸め、小さくなっている。

彼女はグラフィックデザイナーだ。

と言っても、まだアシスタント。

だけど美的センスがすごくいいので私は尊敬している。

そんな麻衣ちゃん、どうやらポスターの作成が遅れているみたいで、そのことで識嶋さんに注意されているようだった。


「す、すみません!」


完全に委縮してしまってる麻衣ちゃんの姿に、助け舟を出そうかと一瞬迷ったけれど。

識嶋さんは彼女の様子を見て、視線を僅かに彷徨わせた後……


「デザインはいいんだ。早く完成させて仕上がりを見せてくれ。その……頼んだぞ」


麻衣ちゃんを気遣った。


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