溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~


ため息ばかりついていて、気持ちが安定しない。
 
ここのところ、私はずっと携帯を気にしていた。何かを受信すれば音が鳴るのに、ことあるごとに画面をつけて確認してしまう。まるで携帯依存症だ。いや、どちらかといえば、『瀬戸生吹』依存性だろうか。
 
濡れた髪を乾かしながら、充電コードのつながった携帯を手にとった。ボタンを押して画面を起こしても、着信やメッセージを知らせる通知は来ていない。
 
瀬戸くんの声が聞きたい。
 
ほんの少しかすれた声に、甘やかされたい。
 
もやもやした気持ちを全部吐き出してしまいたい。
 
画面に生吹という文字が浮かぶだけで、胸が締め付けられる。

【仕事が忙しそうだけど、身体は大丈夫?】
【――大丈夫】

【帰宅したら電話ください。何時でもいいので】
【――ごめん、昨日は遅くて連絡できなかった】

【いつごろ、こっちに戻ってきますか?】
【――まだわからない】
 
メッセージのやりとりを遡って見ていった。

無視をされることはないけれど、どの返信も極端に遅いし、とにかくそっけない。それどころか、この一週間、瀬戸くんは返信するばかりで、彼からは連絡をくれていない気がする。

はっとした。
 
もしかして私、避けられてる?
 
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