溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~


結局、瀬戸兄弟と瑠璃さんは明け方まで私の部屋で飲み、タクシーで帰っていった。

瀬戸くんはシャワーに入ったら仮眠して出勤すると言っていたけれど、大丈夫だろうか。かくいう私も久しぶりの夜更かしだ。

あくびをかみ殺しながらオフィス五階に着くと、瀬戸くんは既に出社していた。

斜め後ろの席のびしりと決まったスーツ姿に胸がときめく。私服姿も素敵だけれど、生地や形にこだわり抜いてオーダーメイドで作っているというスーツは、長身の瀬戸くんにぴたりと合っていた。 

「西尾さん、おはようございます」

瀬戸くんに挨拶をする前に背後から声をかけられた。振り返ると、色素の薄い髪を短く刈り込んだ爽やかなビジネスマンが立っている。

「おはよう野村くん。髪切ったの?」

「はい」と笑い、後輩王子はこころもち胸を張った。

「やっぱり第一印象って大事だなと思って。いまさらだけどイメチェンです」

変ですかね? と訊かれて、私は首を振る。

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