溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
「よく似合ってます。清潔感もあるし、かっこいいですよ」
「ですかねぇ」と照れたように頭を掻く野村くんの向こうに、営業部のエース様の顔が見えた。椅子に座ったままこちらを見ている彼の顔は、どことなくこわばっている。
「い……瀬戸くん、おはよう」
「瀬戸さん、はよーございます」
私の目線を追いかけて野村くんが挨拶をすると、瀬戸くんはひらりと右手を上げるだけの返事をしてパソコンに向き直った。
始業前からカタカタとキーを叩く姿を見て、野村くんが触発されたように席につきノートパソコンを広げる。私も自分のデスクに座って、パソコンの電源を入れた。
頬がちょっとだけ熱い。
気をつけなきゃ、と思った。瀬戸くんは意外とヤキモチ焼きなのだ。
社内恋愛って案外大変だなと思うのと同時に、同期の彼のこれまで知り得なかった気持ちに、胸がくすぐられる思いだった。