溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~


パニックになりかけている彼女からどうにか聞き出したところによると、納品したパンフレットに誤りが見つかって、顧客から瀬戸くんにクレームの電話が入ったらしい。

「何度か修正があってようやくOKが出た案件なんです。それなのに私、間違えて、修正前のデータを入稿しちゃって」

「それで、瀬戸くんはなんて?」
 
営業部の出勤表に目を走らせると、瀬戸と書かれたマグネットは赤色のままで、となりに企業名と『直帰』という文字が記されている。出張しているのだ。

「瀬戸さん今大阪なんですけど、印刷所に電話をしてくれたみたいなんです。でももう間違ったままのが営業所に発送されちゃってて。差し替え依頼をして、新しいのを各営業所に発送してくれって」
 
泣き出しそうな彼女の肩を叩く。

「芽衣ちゃん、落ち着いて。どこのクライアント? 差し替えって、営業所の地域は?」

「アイビーマートです。都内四店舗と、それから仙台市内」

「仙台!? 納品時間は?」

「十七時です。仙台はもう間に合わないから、瀬戸さんが直接行って謝るって」

「直接行くって、彼、いま大阪なんでしょ?」
 
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