キュンとさせてよ。
私の想像する不審者とは、はるかに違った。
黒い格好もしてないし、帽子もマスクも付けていない。
白いカットソーにジーパン。見るからにフツーの人。
隣に引っ越してきた人が挨拶に来たのかな、などと呑気に考えた。
…いや、いくらなんでもこんな時間に訪ねてくるなんて怪しい。
「あのー…新崎さん?」
すると玄関の外から、控え目に私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
えっ、だだだだだ誰…!?
「いらっしゃいますか?」
声色と良い、口調と良い、何とまあ丁寧な人だ。
「だ、誰ですか…?」
私は勇気を出して声を掛けた。