とある夏の日のことだった
別れの時

時間は待ってくれなかった。
そして終わりがやってきた。
お互いに「ごめんね」と「大好き」以外言葉を失った恋人最後の日に、心に吹く隙間風。
結論の出たあとも、往生際悪くこれ以外に方法はないものかとどこかで探し続けていたと思う。
運命を感じた人と必然の出逢いが、まさか本当にひと夏の恋で終わってしまうなんて思っていなかったけれど、君は最後まで俺が自由になって新しい幸せを見つけられるならそれでいいと、強がりを言っては無理に笑って見せて、決して阻止したりしなかった。
ずるいくらいに今も俺の心には君がいるのに、それを知る友人はもはや誰もいない。
だから今日もまた、彼女は?好きなタイプは?と聞かれる度に俺は、下手な作り笑いを浮かべる。
営業スマイルならとっくに得意になったはずだったのに。
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