君に溺れた
「あら、夕方に家にいるなんて珍しいわね。」

「・・・」

「昔はもう少し可愛げがあったのに、やっぱり娘を産めばよかったわ。お母さん、さみしい。」

「やめろよ。今日親父は?」

「仕事で遅くなるそうよ。」

「・・・本当に仕事かよ。母さんは親父のこと、心配にならないの?」

「・・・お父さんのこと、信じてるわ。」

「・・・あんまり期待するなよ。」

「どうしたの?お父さんと何かあったの?」

「何もないよ。親父がいないなら今日は俺と食事に行こうよ。たまにはいいだろ?」

「そうね。息子とデートなんて嬉しいわ。すぐ準備するわね。」

< 106 / 112 >

この作品をシェア

pagetop