君に溺れた
6年経って、真凛はとても素敵な女性になっていた。

髪は肩までのセミロング。

少し茶色に染めていた。

メイクもしていて、以前より少しふっくらとした印象を受けた。

色気もあって6年という時間を改めて感じる。

俺は目の前にいる真凛から目が話せなくなった。

「真凛。これ、車に忘れてたぞ。」

「あー佐藤先生、お疲れ様です。」

「あぁ、お疲れ。真凛、あんまり飲みすぎるなよ。帰りはまた送るから一緒に帰ろう。」

「あっはい。」

「もう佐藤先生は宮島さんに過保護すぎません?」

「そんなことないよ。昔から知ってるから、心配になるだけだよ。」

「堂々とのろけられちゃうとつまらないなー。」

「ははっ。」

「次は先生の結婚式かなー?」

「先輩!?もう意地悪しないでくださいよ。」

披露宴の最中も、俺は真凛に視線を送る。

時々真凛と目が合うと真凛ははにかんだように笑顔を見せてうつむいた。

なぁ、真凛。

あの男は誰だ?

俺はお前を忘れられずにいるけど、お前は前に進んでるのか?

俺だけ、過去のお前にしがみついてるみたいだ。


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