君に溺れた
大地さんの家を出た。

これからどうしたらいいか。

所持金はバイトでコツコツ貯めて30万くらい。

とりあえず東京は離れよう。

でも、土地勘がないとかえって効率悪いかな。

うーん。

「宮島真凛さんですか?」

「えっ?はい。どちら様ですか?」

「あなたに会わせたい人がいます。着いてきて下さい。」

「私に会わせたい人?」

「えぇ。」

公園でぼんやりしてるのも怪しい人だし、声を掛けてきた人、悪い人には見えなかった。

私は男の人が運転する車に乗って、とても高級感のあるホテルに連れていかれた。

裏口から入ってそのままフロントを通らず最上階へ。

「あの、会わせたい人って誰ですか?」

「・・・」

「あの・・・」

「あなたのお父様です。」

「はっ!?」

「これから会って頂くのは三石商事の社長、三石哲哉さまです。失礼のないようお願いします。」

「・・・」

私は言葉が出てこなかった。

この人が嘘を言っているようには見えなかった。

でも本当のことだったら、信じられない。

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