君に溺れた
お前じゃなきゃだめなんだ
今日は真凛を和島や栗田、俺が昔から親交のある友人に紹介する。

友人たちは俺が昔から女性に近寄られると吐くという問題を抱えていることを知ってる。

中学のころはからかっていた友人も、俺が何年も苦しんでいるのを知ってるから、最近は敢えて女性の話しはしないようにしてくれる。

一生付き合っていきたい友人たちに真凛を紹介できる。

朝からそわそわしてしょうがない。

仕事中も書類を確認しながら、友人に真凛をどう紹介しようかそればかりを考えてしまう。

だめだ。

集中できない。

俺は休憩を兼ねて喫煙ルームに向かう。

その途中、山田可南子という同じ課の婦警に声を掛けられた。

俺は山田さんとは周りの女性たちと比べて多く話ができる。

それは、山田さんは俺のことを眼中にないといった感じで目を合わすこともなければ、近づいてくることもないからだ。

「一ノ瀬係長、今、お時間ありますか?」

「あ、あぁ。大丈夫だ。何か?」

「あの、私、来月転勤が決まったんです。」

「あぁ。勿論知ってるよ。○○署だったよね?」

「はい。それで、あの、私、ずっと一ノ瀬係長のことが好きでした。」

「・・・えっ?」

「あの、私を彼女にしていただけませんか?」

「!!・・・すまない。僕には彼女がいる。」

「えっ?嘘ですよね?」

「いや、本当だ。」

「・・・そうですか。」

「すまない。」

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