君に溺れた
まさか山田さんに告白されるとは思わなかった。

少し心が痛んだが、俺の頭はすでに夜のことでいっぱいだった。

仕事を時間ぴったりに切り上げて真凛の病院へ向かう。

そのまま地下駐車場に車を停めた。

スマホを確認すると真凛から、今、向かっていると連絡がきた。

俺はエレベーターの近くで真凛を待つ。

エレベーターが開いたので顔を上げると、中から真凛と佐藤先生がいた。

真凛がエレベーターを出ようと歩きだした。

真凛の腕を佐藤先生が掴んで引き寄せる。

俺は急いでエレベーターに向かったが、エレベーターは二人を乗せたまま閉まった。

閉まる直前、佐藤先生が真凛にキスをするのが見えた。

俺はエレベーターの外から真凛を呼ぶ。

5分ほど経っただろうか。

エレベーターの扉が開くと真凛が口元を押さえて震えている。

俺はカッとなって佐藤先生の頬を殴っていた。

真凛は悲鳴を上げる。

俺は佐藤先生に向かって吐き捨てた。

「いくら好きでも、こんなやり方は卑怯だ!もう2度と真凛に近づくな!!」

佐藤先生は俺に殴り飛ばされてエレベーターの床に座り込む。

俺は真凛を連れていく。

佐藤先生がエレベーターの中から叫んだ。

「傷つけたかったわけじゃないんだ。ただ真凛を俺の手で幸せにしたかった。」

真凛は振り向き、佐藤先生をみた。

俺はそのまま真凛を車に乗せる。
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