君に溺れた
幸せの予兆
痛みとともに目を開けると、周りには上司や同僚、和島、栗田もいる。

「一ノ瀬くん、大丈夫か?」

「あっはい。部長。大丈夫です。」

「よかった。山田くんがまさかこんなことをするとは思わなかった。事件を早期に収拾する必要がある。君も体調が戻り次第報告書を提出しなさい。」

「はい。ご迷惑をおかけしました。」

「まずはゆっくり体を回復させなさい。」

「はい。」

部長が退室すると同僚や部下も挨拶して帰っていった。

「心配かけて悪いな。」

「真凛ちゃんを庇って刺されるとかお前らしいな。」

「・・・」

「大地、お前本当に宮島さんと付き合ってたんだな。」

「話せなくて悪いな。この前紹介しようと思ってたんだ。」

「いいよ。それよりお前がトラウマを乗り越えられたことが嬉しいよ。」

「あぁ。俺が一番嬉しいよ。」

「よかったな。」

栗田の言葉に胸が熱くなる。

和島も笑っている。

そこに真凛が入ってきた。

真凛は目に涙をたくさん溜めている。

「・・・だいちさ・・ん、よかった。」

「真凛。泣かないで。」

「だいちさんがいなくなったら、わたし・・・いきられない。ひっく。ん。ん。」

真凛は喋ってるうちに涙をポロポロ落としている。

「真凛、って。いてー、真凛頼む。こっちに来て。そこじゃあ抱き締められない。」

俺は起きようとしたが麻酔の影響で体が動かなかった。

真凛がゆっくりと俺の側まできて手を握ってくれる。

和島が栗田を連れて部屋を出た。

俺は真凛にこっちに来るように頼んだ。

真凛が優しく俺を包んでくれた。

「よかった。真凛が無事で。」

「大地さん。」

「真凛、ずっと一緒にいよう。真凛の言う通り、幸せは永遠じゃない。辛いときもあるよ。だけど真凛と一緒なら乗り越えられる。一緒に生きて行こう。」

「は・・・・い。」


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