君に溺れた
俺と真凛は順調に回復した。

今日は真凛の引っ越しの日。

あれから二人で話し合って同居することに決めた。

広さとセキュリティを考えて、俺のマンションで暮らすことにした。

先日、真凛の父親に交際を報告し同居も認めてもらった。

真凛は俺の両親に会いたいと言ったが、俺は快く返事が出来なかった。

6年前のお見合いの日から母親とは会っていない。

父親には、仕事で会う機会があったがろくに話もしなかった。

でも、真凛と結婚を考えてるからどこかで会って話をしないといけないよな。

とりあえず、父親に話しておくか。

引っ越しは半日もかからず終わった。

真凛はせっせと荷物の片付けをしている。

「真凛、少し休もう。」

「う~ん、もう少しだけ。」

「何か飲まないか?」

「今は大丈夫。」

俺は少し腹が減ったので買い物に出た。

近くのパン屋で真凛の好きなメロンパンを買った。

家に戻ると部屋に真凛がいない。

「真凛!?どこだ?」

「大地さん、ここです。」

「真凛!?どうした?気分が悪いのか?」

「急に気持ちわるくなって。」

「大丈夫か?朝から動きすぎだよ。少し休もう。」

俺がソファに座らせて水を取りに行くと、真凛は走って部屋に向かう。

自分の手帳を確認している。

「真凛、どうかした?」

「大地さん、私、赤ちゃんができたかも。」

「え?赤ちゃんって・・・えっ‼」

真凛はもう一度手帳を確認して、ドラッグストアに連れてってと頼んできた。

ドラッグストアで検査キットを買ってしばらくトイレに籠っている。

俺は気になってトイレの前をウロウロしていると、真凛が呆然と出てくる。

「真凛、どうだった?」

「・・・お腹に私たちの赤ちゃんがいます。」

「ほんとに?」

「はい。」

俺は真凛を抱き締めた。

「大地さん、苦しいです。」

「真凛!ありがとう。一緒に幸せになろうな。俺、いい父親になれるよう努力するから。」

「はい。」
< 80 / 112 >

この作品をシェア

pagetop