君に溺れた
19時。

友達3人と都内のレストランにいた。

今日は合コンの気分じゃないが友達に強引に誘われ、無理矢理連れて来られた。

少し参加して抜けよう。

そもそも年上の女性はつきあい方を間違えるとしつこくて厄介だ。

後々面倒は避けたい。

レストランで待ってると綺麗に着飾った女性たちがにこやかに入ってきた。

俺はいつもの軽いノリで愛想よく振る舞う。

なかなかの美人揃いで友達のやる気も高い。

3対3だが、一人が遅れているらしい。

「レストランついた途端にトイレに行くって言い出して、ごめんね。もうすぐ来ると思うから。」

やたらハキハキしゃべるな。

遅れてくる子も無理矢理連れて来られた感じかな。

「お待たせしてすみません。」

「ちょっと真凛!遅いよ。じゃあ早速自己紹介ね。」

俺は目の前に座った女の子に釘付けになった。

昨日親父と会っていた女の子だ。

女の子は具合が悪いのか、口にハンカチを当てている。

彼女の名前は宮島真凛。

間近で見る彼女は本当に綺麗だった。

元々人見知りなのか、ほとんど斜め下を向いていて視線が合うことはなかった。

ただ俺が三石竜哉と名前を言ったときだけ、俺と目が合った。

名前を聞いてから、彼女とよく目が合う。

俺が三石哲哉の息子と気づいたのか?

親父の不倫相手に合コンで会うなんて皮肉だな。

「・・・俺の顔に何かついてます?」

「えっ?いや、ごめんなさい。見すぎでしたね。」

「こんな綺麗なお姉さんに見られるのは嫌じゃないですよ。」

「綺麗なって・・・」

彼女は俺の言葉にはにかんだ笑顔を見せた。

純情そうに見えるのに不倫してるなんて、やっぱり女は怖いな。
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