君に溺れた
合コンは盛り上がっていたが真凛さんはとても具合が悪そうだった。

2回目のトイレのあと、今から帰ると言い出した。

まだ30分もいないのにと、俺の友達が引き留めたが、体調不良を理由に出口に向かう。

俺は気になって一緒に外に出た。

駅に向かって歩いている。

「真凛さん。」

「え?どうしたの?みんなは?」

「まだ店にいるよ。心配だから送るよ。」

「平気よ。せっかくの合コンなのに、私がいたらみんなに気を遣わせちゃうから、三石くんもみんなと楽しんで。」

「真凛さんは俺と帰るのいや?」

「嫌とかじゃなくて、その・・・」

「じゃあ行こう。」

俺は真凛さんの手を強引に掴んだ。

タクシーに一緒に乗る。

「真凛さん、住所」

真凛さんは運転手に行き先を告げる。

車内では当たり障りない話をした。

真凛さんは年上だけど、全然気取った感じなくて時々間抜けな返答で俺がつっこむとはにかみながら優しく笑ってくれた。

何だろう。

すごく落ち着く。

真凛さんのマンションはセキュリティもしっかりした高級マンションだった。

親父が買い与えたのかな?

「三石くん、ありがとう。これ、私の分。」

「気にしないで。」

「でも・・・」

「真凛さん、また会ってくれます?」

「え?」

「俺、また真凛さんと話がしたい。だめですか?」

大抵の女性はこれで連絡先を教えてくれる。

真凛さんは少し考えてからゆっくりと話した。

「三石くん、今日はありがとう。もしまた会える日がきたらまたゆっくりお話しようね。じゃあ。」

「え?真凛さん、待って!」

真凛さんはそのままタクシーを降りて走り出す。




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