君に溺れた
真凛さんと1時間ほどカフェで話をした。

帰るときも雨が降っていて、真凛さんは松葉杖の俺を心配してタクシーを呼んでくれた。

俺を支えながらタクシーに乗せて、じゃあって帰ろうとする真凛さんを必死で呼び止めた。

「真凛さん!待って!」

「どうかした?」

「一緒に帰ろう。」

「大丈夫だよ。駅まですぐだから。」

「でも、もう少し話したい。・・・父さんのことも・・・」

「お父さんのこと?」

「あ!あの、その・・・」

真凛さんは少し迷ってタクシーに乗った。

俺は真凛さんのマンションの住所を運転手に告げる。

タクシーの中では会話はなかった。

真凛さんも何か言いたげだったけど、何も言わなかった。

真凛さんのマンションに着くと、真凛さんは俺にお金を渡してくる。

俺は差し出された手を強引に引っ張った。

真凛さんはバランスを崩して俺にもたれた。

「真凛さん・・・俺、」

「三石くん、退院おめでとう。足、気をつけてね。じゃあ。」

俺はまたタクシーに取り残された。


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