春恋。
あの後、先生から「後悔しないように生きなさい」と言ってくれた。

「ごめん。」と謝ってくれた。

先生は悪くない。
むしろ感謝してるくらいだもん。

だけど、涙は止まってくれなかった。
だから、何も言わずにただ涙を流してた。

口を開くと“ 辛い ” “ 怖い ” “ 寂しい ” 、と
弱音ばっかりはいてしまってたから。


これから家に向かう。

お母さんに、お父さんに、妹に、なんて伝えよう。
妹は優海と言う。
まだ、小学生3年生。名前の通り海のように寛大で優しい心を持っている自慢の妹。
姉があと1年で死ぬ、と言われてなんと思うのかな。

お母さんにもお父さんにも、親孝行はなんにも出来ていない。


病気宣告された時はお腹にちょうど、優海が居た。

あの頃は、妊娠したと聞いて家族一団となって
喜んでいた。
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