春恋。
切ない過去 ✩青空side✩
「クソッ…!!」

近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばして頭を掻き回す。

「外まで丸聞こえだよ?青空。」

「かな…た。」

「ねぇ、青空ってさ。
桜羅と春花のこと、比べてるのでしょ。」

かつての俺ら兄弟の幼なじみで、俺の初恋だった人の名前を出されてハッとする。

「違う…」

「なにが?
あれから人に関わらずに、1人殻に閉じこもってた青空が?」

「違う。」

「ずっとずっと、何をしても青空が一番で
春花だって青空を…」

「違う!!!」

「青空が居なければ春花は…!!」

つい勢い任せで、今まで封印していた本音(ことば)を発してしまったんだろう。

「あ…。ごめん…。
嘘だからね?冗談冗談!」

違う。星空が言ったこと。全部本当だ。
俺のせいで春花は死んだ。
桜羅は春花に似てる。
笑った顔も、泣いた顔も、…苦しむ顔も。
だから桜羅と春花を重ねてた。

「おーい、橘!星空の方ちょっと来い。」

「先生に呼ばれたから行くな。」

そそくさに先生のもとへ駆ける。
星空、悲しい顔させてごめんな。
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