友チョコじゃ、嫌だから。
──────ガサガサ
カバンの中へと手を入れて、可愛くラッピングされた箱を取り出す。
「はい、あげる。毎年恒例の"友チョコ"」
いいや。
今年もまた友チョコになってしまったけれど、やっぱり悠斗の隣で今みたいに笑っていたい。
振られてギクシャクするとか、私達らしくないじゃん?
だから、受け取れ!バカ悠斗。
愛は悪いけど120%詰め込んだ。
なんて、思いながら悠斗へと差し出した渾身のガトーショコラは、
「拒否。」
「は……?」
"拒否"の二文字で呆気なく行く宛をなくした。
え?今なんて?!
拒否?!拒否って言いましたお兄さん!!!
「無理。」
「はぁ?!」
挙句、無理?!!?!
目の前で悪びれる訳でもなく、いつも通りの調子で言葉を放つ悠斗に、目ん玉ぶっ飛かけてる私。
あー、ついに"友チョコ"ですら、受け取ってくれなくなったよ。