友チョコじゃ、嫌だから。
「あ、そ。」
本命でも出来ちゃったのかな。
好きな子からしか、受け取りません…みたいな?
なにさ、悠斗のくせに。
"友チョコ"だって言ってるのに。
顔だって、いいわけじゃない。
スポーツだって、人並みで。
優しいか?って聞かれたら…私には意地悪な気さえするし。
じゃあ、どこが好きなの?
そう聞かれても、全然 分かんない。
「友チョコじゃ、嫌だから。」
「…ん??」
「今年はもう、"友チョコ"はいらねぇ。」
いらねぇ…なんて言いつつも、私へと向かって差し出される私のよりも大きな手。
「な…なによ、その手は…いらないんでしょ!」
「俺は"友チョコは"いらねぇって、言ったろ。」
「だから…なに…?」
もしかして、悠斗は気づいているのか?!
私が本当は、このガトーショコラに…悠斗への気持ちを山ほど混ぜ込んで作ってしまったことに。
いやいや、あの悠斗だよ?!
ウルトラ鈍いもん。ない、ないない!!