友チョコじゃ、嫌だから。
「ウカウカしてていいの〜?」
「へ…?」
「もうすぐバレンタインだよ!チョコ!まさか今年も"友チョコ"あげるつもりじゃないよね?」
茉莉ちゃんの言葉に考える。
だって。私とアイツは友達なんだもん。友チョコあげて何が悪い。
それに、中学からずーーっと、毎年毎年、言ってしまえばもう恒例行事じゃん。
私からアイツに"友チョコ"あげる、なんて。
今更、何チョコあげろって言うの。
"本命"
脳裏に浮かんだ二文字に、一瞬で寒気がして首を振る。
ない、ないない!…ない…よね?
……ない、のかな。
あれ?ちょっと待って、私って…悠斗のこと、どう思ってるんだろう。
友達。その事実は変わらないのに、他の誰かのものにはなって欲しくない。
今のままがいいけど、このままじゃ嫌で。
……なんだこれ、矛盾がいっぱいだ。