放課後ニヒリスト
私は冷たい水だけが溜まった浴槽の中に、ただただ立っていた。
足の先から、ゾクゾクと冷えていくのが判る。
部屋着にしているワンピースも、裾がぐっしょりと濡れていた。
グレーだから、水分を吸ったところが黒くなって、体に張り付く。
ぞくり、と背中を何かが這った。
ああ、と緩んだ口元からため息と共に声がこぼれ、風呂場の壁に当たって消えていった。
なに、してんだろ。
そっと振り向けば、備え付けの鏡の中にいる無表情な少女と、目線が交わる。
ハロー、私。
どうしちゃったのさ、寂しそうな顔して。
らしくないじゃん。
・・・いっそ、感情などなくなってしまえばいいのに。
水中に、ざぶりと座り込む。ひゅ、と息が詰まった。
浅く、荒い息を繰り返して、自分の体を抱くように私は縮こまった。
すごく、寒い。
水から出ればいいことなんだけど、服が重たくて動けない。
外は雨。私は雨音を聞きながらそっと目を閉じた。
視界と共に、意識もフェードアウトする。