放課後ニヒリスト
私には、色々と秘密があった。
ニヒルな彼ら、6人と同じように。
私は、拾われっ子だった。
両親とは、血がつながっていない。
本当の両親は私を教会の門の前に捨てて、今はどこにいるのやら。
それは随分前から知っていたし、それを苛めの対象にされてもなんとも思わなかった。
自分を捨てた親も、自分を引き取った両親も、恨んだことはなかった。
1歳のころ、私は教会の門の前に、果物の籠か何かの中に丸められながら放置されていた。
雪が降るほど寒い、それはクリスマスの日のことだったとか。
着ていた服と、「よろしくお願いします」以外書かれていないメモと一緒に、灰色の空の下で凍えていた。
ちょうど買い物に出かけようとしたシスターが見つけてくれて、私は冷凍ベイビー(えぐい表現だけれど、これは私を発見したシスターから言われた表現だ)にならずにすんだ。
だから、物心付いた頃から、私は教会で過ごしていた。
事故で親を亡くした子、親が養いきれずに預けている子、親に捨てられた子。
教会にはそんな子供がいっぱいいた。
ドイツ人やフランス人の女の子だっていた。
彼女達とは特に仲が良かった気がする。
だから、何の心配もなく過ごしていたけど、時折年下の女の子達がママに会いたい、と泣いているのを聞くたびに疎ましく思った。