放課後ニヒリスト
午前授業の日と、毎週土曜日、つまるところ今日は、お茶会の日だった。
お茶会、だなんて言っても、私の家で中学生の私たちには少々高価なケーキを突付いて、紅茶に口を付けて、いつものくだらない話を遅くまでするだけのことなんだけど。
だから、委員会の仕事があるイツキ先輩とアキラ先輩を学校に残して、残りの5人だけで私の家に向かう途中、うっかり私は足を踏み外した。
「あ、」
といって、私を助けるはずだったユウの手はむなしく空をつかみ、一瞬で私は落ちた。
ちょっとした段差だったらよかったのだけれど、あいにくそこは近所の河川敷で、私は坂になった原っぱをごろごろと転がり落ちて、川の目の前で止まった。
少し遅れて、痛みがダイレクトに来る。
耐えるように目を閉じると、大丈夫かー!!なんて叫びながら慌しく駆け寄ってくる4人分の足音と、目の前で何事もなかったようにさらさらと流れている川の水音が聞こえた。
あーあ。何してんだろ。
上半身を起して、途中で放り投げてしまったカバンのほうを見る。
制服は前日の雨で緩んだ土でどろどろ、髪の毛は草が絡まっていて、ああ、足とひじをすりむいたみたい。
サイテー。サイッテー。
「おい、いつまで呆けてんだよ」
と、差し出されたケイ先輩の手を引っ張るようにして立ち上がり、私はぱたぱたとスカートをはたいた。