放課後ニヒリスト
「ん。チョコケーキ」
「お前、ホワイトチョコ好きだよなー」
目の前に置かれた白いケーキを見ながら、イツキ先輩はそう呟いた。
「だからそんなに色白なんだぜ、きっと」
「生まれつき色素が薄いの。だから、ほら。こんなに茶髪なの」
「あそ」
たったの一言で片付けられた私の言葉は、4LDKの中に溶けた。
まだ春なのに、少し暑い。
「なんか、アンニューイ」
そう零すと、皆、は?って顔をした。
すみませんね、いつも唐突で。
「そういえばお前よく言うけど、あんにゅういってどういう意味?」
「うるさい黙れ馬鹿」
「はあ?!!」
カタカナ語にめっぽう弱いケイ先輩は、私のいらいらとささくれ立った言葉に過剰反応してみせる。
ていうか、俺もわかんねぇんだけど、とホワイトチョコの付いたスプーンをなめながら、レン先輩は私に告げた。
あーそ、じゃあ辞書でも引けば?
えー、引き方わかんない。
馬鹿、じゃあ電子辞書で調べなよ、なんて、先輩と後輩の会話じゃないね、これ。