放課後ニヒリスト
私たちのおしゃべりな口は、ぺちゃくちゃと好き勝手に喋る。
授業の話とか、学校行事の話とか、近所の美味しいソフトクリーム屋の話とか。
絶対恋の話が出ないのは、暗黙の掟だった。
次第に会話も薄れ、話題が底を尽きた頃、私は呟いた。
「ねえ、」
低い私の声が、静けさを招いた。
なんで私たちって集まるの?
膝を抱えて、疲れた口元にいつもの微笑を貼り付けたまま。
私の目は笑っていないだろう。
他人の脳内に入り込んで、その脳を壊してしまえたら、どんなに気楽な世界か、と思えた。
汚らしい脳漿(のうしょう)を零しながら、彼らは醜いさまで死に逝くの。
ああ、なんてすばらしいグロテスク。
悪趣味な、私。あはん、うふん。
けど、目をむいて、泡を吹いて、舌をだらしなく出して、気道を押しつぶされた人の死に顔を思い出し、さっきの血なまぐさい妄想劇は嘘、冗談と、情けない座長の言葉で脳内劇場は幕を閉じた。