LOVE物語2
2.再開ー2年の時を経てー
ーside遥香ー
朝のHR
私は、尊の車じゃなくても普通に通えるようになって、今は電車通学をしている。
電車通学と言っても、尊は私の体を心配して高いのにグリーン車に乗るように言われた。
定期もそれ用。
確実に座れるグリーン車の方が私のためだとは分っているけど、何となく気が引ける。
そんなことを考えていると、
「明日から、進路の個人面談が始まります。志望大学を決めておいてください。」
担任の先生は1年生から変わらない。
だから、安心して進路のことを相談できる。
「それから、白石さん。」
突然呼ばれた私の名前。
「はい。」
「校長先生がお呼びだからHRが終わったら行ってね。」
「はい。」
校長先生からの呼び出し?
怖すぎる。
何だろう…?
私は、朝のHRが終わり不安を抱えながらも校長室に向かった。
「失礼します。」
恐る恐るドアを開けると、笑顔の校長先生が私を出迎えてくれた。
笑顔が怖い。
「白石さん!そこに座って。」
私は、校長先生の目の前に座ると校長先生は私と直角になる形で座った。
「向かい合ってると緊張するでしょ?そんなかしこまった話でもないから安心して。」
校長先生は私の心を読んでいるかのようだった。
「白石さん、2年生の終わりに全国模試やったの覚えてる?」
「はい。」
「それでね、白石さん。10位以内に入ったよ。」
私は一瞬頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。
え?私が?
「信じられないって顔してるね。これが、白石さんの結果です。」
私は、先生から渡された封筒を開けて結果を見る。
そこに記された数字を目の当たりにするとようやくそれが現実だということに気づく。
「それで、どうしてこの大学が第1志望?白石さんの成績ならもっともっと上に行けると思うけど。」
「私は、そこの大学で見つけたいことがあるんです。」
「見つけたいこと?」
「はい。憧れている人の母校だから。」
「先生は、1人の人間として白石さんを第1志望の大学へ行かせてあげたい。でもね、学校の校長としてはもっと上の大学を目指して欲しい。3年の先生は個人の意志を尊重すると思うけど白石さんはこの学校の希望なんだ。」
希望と言われても…。
私は、いくら偏差値が高くても6年間通う大学だからこそ真剣に決めたい。
それに、やりたいことを見つけられるわけでもない。
私は、尊と同じ大学で学びたい。
「私の人生は私が決めます。」
そのことを伝えて私は廊下に出た。
そんなことで呼び出されたことに腹が立った。
ここでも、評判を上げようと私を使うわけ?
気持ちが高鳴り、私は胸が苦しくなった。
何、発作?
そんなことを考えているとすぐに発作が起きた。
「ゲホゲホッゲホゲホゲホゲホ…ハァハァ…ゲホゲホゲホゲホッ」
最近はコントロール出来ていたのに止まらない。
吸入しようとするけど手が震えて上手く吸えない。
どうしよう。
苦しい…。
「遥香!?」
「み…こと?ハァハァ…なん…で?」
「いいから。ゆっくり深呼吸しよう。大丈夫だから。」
尊は優しく私の背中をさすってくれて吸入させてくれたお陰で、発作は収まった。
久々の苦しさに私は意識を手放していていた。
それから何時間経ったのだろうか。
起きたら白い天井。クリーム色のカーテンで覆われていて手元を見ると尊の姿があった。
「遥香、大丈夫か?」
私はゆっくり起き上がった。
「覚えてるか?廊下で発作起こしたんだよ。」
「あ…そうだった。それよりどうしてここに来たの?」
「これ。」
尊から渡されたのは喘息の薬と貧血の薬。
これを届けにわざわざ来てくれたんだ。
「ありがとう。」
「珍しいな、遥香が薬を忘れるなんて。」
「朝…ちょっと忙しかったから。」
「本当にそれだけか?朝から眠そうだったけど昨日は何時に寝たんだ?」
バレてる。
私が昨日夜遅くまで勉強をしていたことに気付かれている…。
尊に嘘はつけない。
「遅くまで勉強してました…。」
「何時まで?」
「3時まで?」
「はぁー…。お前な、頑張ることも大事だけどそれで遥香の体調が悪くなったらどうするんだ。」
「…。」
「遥香?」
ずっと口を閉じていた梓先生が口を開いた。
「まぁ、いいじゃない。遥香ちゃんだって受験とか色んなプレッシャー感じちゃってるんだと思うし。ねっ、遥香ちゃん。」
「尊…ごめんね。でも私、尊と同じ大学で学びたいの。そのためなら、私は頑張りたい。」
「遥香の気持ちは分かったから。悪かった。でもな?やっぱり無理はしてほしくない。遥香が辛い思いするだけだよ?俺は、そんな遥香を見て見ぬ振りなんてできない。だから、睡眠時間はちゃんと確保しよう?な?」
「でも…」
「じゃあ、1つだけ約束して?」
「なに?」
「朝の診察は必ず受けること。ちゃんと体調を俺に伝えて。約束できるか?」
「します。約束。」
「よろしい。」
尊はそう言って優しく頭を撫でた。
「尊、ちょっといい?」
「え?」
「遥香ちゃん、ごめんね。ちょっと尊借りていくね。」
「あ、はい。」
「まだ寝てるんだよ?」
「分かってる。」
梓先生と尊は廊下に出た。
朝のHR
私は、尊の車じゃなくても普通に通えるようになって、今は電車通学をしている。
電車通学と言っても、尊は私の体を心配して高いのにグリーン車に乗るように言われた。
定期もそれ用。
確実に座れるグリーン車の方が私のためだとは分っているけど、何となく気が引ける。
そんなことを考えていると、
「明日から、進路の個人面談が始まります。志望大学を決めておいてください。」
担任の先生は1年生から変わらない。
だから、安心して進路のことを相談できる。
「それから、白石さん。」
突然呼ばれた私の名前。
「はい。」
「校長先生がお呼びだからHRが終わったら行ってね。」
「はい。」
校長先生からの呼び出し?
怖すぎる。
何だろう…?
私は、朝のHRが終わり不安を抱えながらも校長室に向かった。
「失礼します。」
恐る恐るドアを開けると、笑顔の校長先生が私を出迎えてくれた。
笑顔が怖い。
「白石さん!そこに座って。」
私は、校長先生の目の前に座ると校長先生は私と直角になる形で座った。
「向かい合ってると緊張するでしょ?そんなかしこまった話でもないから安心して。」
校長先生は私の心を読んでいるかのようだった。
「白石さん、2年生の終わりに全国模試やったの覚えてる?」
「はい。」
「それでね、白石さん。10位以内に入ったよ。」
私は一瞬頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。
え?私が?
「信じられないって顔してるね。これが、白石さんの結果です。」
私は、先生から渡された封筒を開けて結果を見る。
そこに記された数字を目の当たりにするとようやくそれが現実だということに気づく。
「それで、どうしてこの大学が第1志望?白石さんの成績ならもっともっと上に行けると思うけど。」
「私は、そこの大学で見つけたいことがあるんです。」
「見つけたいこと?」
「はい。憧れている人の母校だから。」
「先生は、1人の人間として白石さんを第1志望の大学へ行かせてあげたい。でもね、学校の校長としてはもっと上の大学を目指して欲しい。3年の先生は個人の意志を尊重すると思うけど白石さんはこの学校の希望なんだ。」
希望と言われても…。
私は、いくら偏差値が高くても6年間通う大学だからこそ真剣に決めたい。
それに、やりたいことを見つけられるわけでもない。
私は、尊と同じ大学で学びたい。
「私の人生は私が決めます。」
そのことを伝えて私は廊下に出た。
そんなことで呼び出されたことに腹が立った。
ここでも、評判を上げようと私を使うわけ?
気持ちが高鳴り、私は胸が苦しくなった。
何、発作?
そんなことを考えているとすぐに発作が起きた。
「ゲホゲホッゲホゲホゲホゲホ…ハァハァ…ゲホゲホゲホゲホッ」
最近はコントロール出来ていたのに止まらない。
吸入しようとするけど手が震えて上手く吸えない。
どうしよう。
苦しい…。
「遥香!?」
「み…こと?ハァハァ…なん…で?」
「いいから。ゆっくり深呼吸しよう。大丈夫だから。」
尊は優しく私の背中をさすってくれて吸入させてくれたお陰で、発作は収まった。
久々の苦しさに私は意識を手放していていた。
それから何時間経ったのだろうか。
起きたら白い天井。クリーム色のカーテンで覆われていて手元を見ると尊の姿があった。
「遥香、大丈夫か?」
私はゆっくり起き上がった。
「覚えてるか?廊下で発作起こしたんだよ。」
「あ…そうだった。それよりどうしてここに来たの?」
「これ。」
尊から渡されたのは喘息の薬と貧血の薬。
これを届けにわざわざ来てくれたんだ。
「ありがとう。」
「珍しいな、遥香が薬を忘れるなんて。」
「朝…ちょっと忙しかったから。」
「本当にそれだけか?朝から眠そうだったけど昨日は何時に寝たんだ?」
バレてる。
私が昨日夜遅くまで勉強をしていたことに気付かれている…。
尊に嘘はつけない。
「遅くまで勉強してました…。」
「何時まで?」
「3時まで?」
「はぁー…。お前な、頑張ることも大事だけどそれで遥香の体調が悪くなったらどうするんだ。」
「…。」
「遥香?」
ずっと口を閉じていた梓先生が口を開いた。
「まぁ、いいじゃない。遥香ちゃんだって受験とか色んなプレッシャー感じちゃってるんだと思うし。ねっ、遥香ちゃん。」
「尊…ごめんね。でも私、尊と同じ大学で学びたいの。そのためなら、私は頑張りたい。」
「遥香の気持ちは分かったから。悪かった。でもな?やっぱり無理はしてほしくない。遥香が辛い思いするだけだよ?俺は、そんな遥香を見て見ぬ振りなんてできない。だから、睡眠時間はちゃんと確保しよう?な?」
「でも…」
「じゃあ、1つだけ約束して?」
「なに?」
「朝の診察は必ず受けること。ちゃんと体調を俺に伝えて。約束できるか?」
「します。約束。」
「よろしい。」
尊はそう言って優しく頭を撫でた。
「尊、ちょっといい?」
「え?」
「遥香ちゃん、ごめんね。ちょっと尊借りていくね。」
「あ、はい。」
「まだ寝てるんだよ?」
「分かってる。」
梓先生と尊は廊下に出た。