LOVE物語2
ーside遥香ー
私はずっと眠り続けていたみたいで、気づけば辺りは暗くなっていた。
「あ、遥香ちゃん起きた?」
近藤さん?
ずっとここで読書してたのかな?
「ちょっとごめんね。」
聴診器を胸に当てられた。
「うん、大丈夫。喘鳴は出てないよ。」
よかった。
近藤さんが読んでいた本が気になって、オーバーテーブルに置いた本に手を伸ばした。
「はい。」
近藤さんに手渡しされ本の題名を見た。
「その本ね、私が遥香ちゃんと同じくらいの歳の時に大好きだった本なの。それ読んでいると、自分が悩んでいたことがすごく小さなことに思えて、前を向けるようになるよ。」
近藤さんは笑顔でそう言った。
「近藤さん、なにか悩んでるの?」
「まぁ、悩んでるかな。」
「もしかして…」
「分かっちゃうよね。遥香ちゃんは。」
顔が真っ赤な近藤さん。
きっと、朝陽先生かな?
「朝陽先生?」
その言葉を聞いた近藤さんが、さっきよりも赤くなっていることが分かった。
「そうだよ。あれから、お昼ご飯に誘われたの。そしたら、結婚を前提にお付き合いしてくださいって言われたの。」
「え!本当?」
嬉しくてつい、傷がお腹にあることを忘れてお腹に力が入ってしまった。
「痛い…」
「あ、こら。お腹に力いれたらダメだよ。」
「でも、よかったです。」
「ありがとう遥香ちゃん。遥香ちゃんのお陰で私も素敵な人に出会えたわ。」
「そんな、私なんて何も。」
「相談に乗ってくれてなかったら、私は付き合ってなんかなかったわ。」
結婚はしたくないと言っていた近藤さんが、ついに結婚を約束したお付き合いをするって思うとやっぱり嬉しい。
「私、応援しますから。」
「ありがとう。…遥香ちゃんは?尊さんとどんな感じなの?」
「んー、あまり前と変わりませんよ?いつも保護者目線です。」
「ふふ。そうなの?」
口元に手を当てて笑う近藤さん。
「私なんか、年下過ぎて本当に女性として見られているんですかね。愛されてることは十分に伝わるんですけどね。」
「佐々木先生、女に興味なかったってこと知ってる?」
え!?
絶対、今まで女性に不自由なく生きてきたと思ってた。
興味なかったの?
でも、それならどうして私を…?
「驚くよね。私も、驚いてるから。遥香ちゃんと出会って尊先生、明るくなったのよ。昔は、患者さんのことと仕事のことしか考えてなくて、はっきり言ってこの人は本当に人間なのかなーって思ったの。でも、あの日から変わった。」
「あの日?」
「遥香ちゃんの初めて診察に学校に行った日。あの日を境に、佐々木先生は丸くなった。雰囲気が刺々しかったからね。私も、話しかけることが怖かったくらいなの。だから、遥香ちゃんは佐々木先生に変えてもらったって思ってるけど、遥香ちゃんも佐々木先生を変えたのよ。もちろん、いい方にね。」
意外だった。
あんなに優しい尊が、昔は周りに心を開いていなかったなんて。
朝陽先生や、ほかの医師とも仲良くしている姿しか見たことがなかったから分からなかった。
「もっと自信もちな?遥香ちゃんは佐々木先生にとって大切な存在だし、素敵な女性として見てるから。」
素敵な女性か…。
こんなに欠点だらけなのにな。
「素敵な女性になれないと思う。」
「どうしてそう思うの?」
「まだ、大人になりきれてないし、身体も丈夫じゃないから…」
「愛する人の欠点を愛せない者は、真に愛しているとは言えない。これは、ゲーテの名言なの。佐々木先生は、遥香ちゃんの喘息も過去も全て愛していると思うよ。だって、遥香ちゃんは遥香ちゃんでしょ。」
「近藤さん…。私、元気でました。」
「本当?」
「はい。私、もっと楽に考えないといけませんね。」
「そうだよ。遥香ちゃんは深く考えて行くほどマイナスに考えて行っちゃうからね。そこは昔から変わらないね。でも、もっと肩の力を抜いて生きていきな。」
近藤さんに肩を揉まれた。
そうだね。
尊の「愛している」っていう言葉は、そんな軽いものじゃない。
私の全てを受け入れた上で、そう言ってくれている。
だから、私もその気持ちに答えたい。
「遥香ー。体調はどう?」
近藤さんと話していると、仕事を終えた尊が病室に来た。
「大丈夫だよ。」
「本当か?」
「うん。」
「遥香ちゃん、喘鳴なくなりましたよ。」
「お!よかった。遥香、明日からリハビリを始めてほしいんだけどできそうか?」
「リハビリ?」
「ずっと、ベットの上にいただろ?だから、体力もずいぶんと落ちたから、ゆっくりリハビリを始めてほしくて。」
「…うん。」
「リハビリの先生は、俺と同期の奴だから。」
「こんにちは、遥香ちゃん。理学療法士の神代直輝です。よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「傷の具合を見ながら、焦らずゆっくり歩いてみようね。」
「はい。」
「遥香?卒業式は必ず出ような?」
「うん。」
「よろしくな、直輝。」
「任せて。」
「それと、ご飯はちゃんと食べたか?」
「食べ…たよ。うん。」
「遥香?食べてないだろ。」
「半分は、食べませんでした。」
近藤さんに本当の事を言われてしまった。
「食欲ない?」
「うん…。」
「そっか…。でも、少しずつ食べていかないと胃が働かなくなっちゃうから、明日から少しずつ食べよう?俺もここに来るから。一緒に頑張れる?」
「ここに?」
「1人で食べるより2人の方がいいだろ?」
「でも、仕事は?」
「間に合うようにするから安心しろ。気にしなくていいから。俺だって、遥香とご飯食べた方が普通に食べるより何倍も美味しいんだよ。」
尊は、目を細めて笑って頭を撫でた。
「ありがとう。」
「その笑顔は反則。よし、明日から頑張ろうな。」
「うん!」
それから、尊は私の病室に泊まってくれた。
尊の温もりに包まれながら、私は眠りについた。
私はずっと眠り続けていたみたいで、気づけば辺りは暗くなっていた。
「あ、遥香ちゃん起きた?」
近藤さん?
ずっとここで読書してたのかな?
「ちょっとごめんね。」
聴診器を胸に当てられた。
「うん、大丈夫。喘鳴は出てないよ。」
よかった。
近藤さんが読んでいた本が気になって、オーバーテーブルに置いた本に手を伸ばした。
「はい。」
近藤さんに手渡しされ本の題名を見た。
「その本ね、私が遥香ちゃんと同じくらいの歳の時に大好きだった本なの。それ読んでいると、自分が悩んでいたことがすごく小さなことに思えて、前を向けるようになるよ。」
近藤さんは笑顔でそう言った。
「近藤さん、なにか悩んでるの?」
「まぁ、悩んでるかな。」
「もしかして…」
「分かっちゃうよね。遥香ちゃんは。」
顔が真っ赤な近藤さん。
きっと、朝陽先生かな?
「朝陽先生?」
その言葉を聞いた近藤さんが、さっきよりも赤くなっていることが分かった。
「そうだよ。あれから、お昼ご飯に誘われたの。そしたら、結婚を前提にお付き合いしてくださいって言われたの。」
「え!本当?」
嬉しくてつい、傷がお腹にあることを忘れてお腹に力が入ってしまった。
「痛い…」
「あ、こら。お腹に力いれたらダメだよ。」
「でも、よかったです。」
「ありがとう遥香ちゃん。遥香ちゃんのお陰で私も素敵な人に出会えたわ。」
「そんな、私なんて何も。」
「相談に乗ってくれてなかったら、私は付き合ってなんかなかったわ。」
結婚はしたくないと言っていた近藤さんが、ついに結婚を約束したお付き合いをするって思うとやっぱり嬉しい。
「私、応援しますから。」
「ありがとう。…遥香ちゃんは?尊さんとどんな感じなの?」
「んー、あまり前と変わりませんよ?いつも保護者目線です。」
「ふふ。そうなの?」
口元に手を当てて笑う近藤さん。
「私なんか、年下過ぎて本当に女性として見られているんですかね。愛されてることは十分に伝わるんですけどね。」
「佐々木先生、女に興味なかったってこと知ってる?」
え!?
絶対、今まで女性に不自由なく生きてきたと思ってた。
興味なかったの?
でも、それならどうして私を…?
「驚くよね。私も、驚いてるから。遥香ちゃんと出会って尊先生、明るくなったのよ。昔は、患者さんのことと仕事のことしか考えてなくて、はっきり言ってこの人は本当に人間なのかなーって思ったの。でも、あの日から変わった。」
「あの日?」
「遥香ちゃんの初めて診察に学校に行った日。あの日を境に、佐々木先生は丸くなった。雰囲気が刺々しかったからね。私も、話しかけることが怖かったくらいなの。だから、遥香ちゃんは佐々木先生に変えてもらったって思ってるけど、遥香ちゃんも佐々木先生を変えたのよ。もちろん、いい方にね。」
意外だった。
あんなに優しい尊が、昔は周りに心を開いていなかったなんて。
朝陽先生や、ほかの医師とも仲良くしている姿しか見たことがなかったから分からなかった。
「もっと自信もちな?遥香ちゃんは佐々木先生にとって大切な存在だし、素敵な女性として見てるから。」
素敵な女性か…。
こんなに欠点だらけなのにな。
「素敵な女性になれないと思う。」
「どうしてそう思うの?」
「まだ、大人になりきれてないし、身体も丈夫じゃないから…」
「愛する人の欠点を愛せない者は、真に愛しているとは言えない。これは、ゲーテの名言なの。佐々木先生は、遥香ちゃんの喘息も過去も全て愛していると思うよ。だって、遥香ちゃんは遥香ちゃんでしょ。」
「近藤さん…。私、元気でました。」
「本当?」
「はい。私、もっと楽に考えないといけませんね。」
「そうだよ。遥香ちゃんは深く考えて行くほどマイナスに考えて行っちゃうからね。そこは昔から変わらないね。でも、もっと肩の力を抜いて生きていきな。」
近藤さんに肩を揉まれた。
そうだね。
尊の「愛している」っていう言葉は、そんな軽いものじゃない。
私の全てを受け入れた上で、そう言ってくれている。
だから、私もその気持ちに答えたい。
「遥香ー。体調はどう?」
近藤さんと話していると、仕事を終えた尊が病室に来た。
「大丈夫だよ。」
「本当か?」
「うん。」
「遥香ちゃん、喘鳴なくなりましたよ。」
「お!よかった。遥香、明日からリハビリを始めてほしいんだけどできそうか?」
「リハビリ?」
「ずっと、ベットの上にいただろ?だから、体力もずいぶんと落ちたから、ゆっくりリハビリを始めてほしくて。」
「…うん。」
「リハビリの先生は、俺と同期の奴だから。」
「こんにちは、遥香ちゃん。理学療法士の神代直輝です。よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「傷の具合を見ながら、焦らずゆっくり歩いてみようね。」
「はい。」
「遥香?卒業式は必ず出ような?」
「うん。」
「よろしくな、直輝。」
「任せて。」
「それと、ご飯はちゃんと食べたか?」
「食べ…たよ。うん。」
「遥香?食べてないだろ。」
「半分は、食べませんでした。」
近藤さんに本当の事を言われてしまった。
「食欲ない?」
「うん…。」
「そっか…。でも、少しずつ食べていかないと胃が働かなくなっちゃうから、明日から少しずつ食べよう?俺もここに来るから。一緒に頑張れる?」
「ここに?」
「1人で食べるより2人の方がいいだろ?」
「でも、仕事は?」
「間に合うようにするから安心しろ。気にしなくていいから。俺だって、遥香とご飯食べた方が普通に食べるより何倍も美味しいんだよ。」
尊は、目を細めて笑って頭を撫でた。
「ありがとう。」
「その笑顔は反則。よし、明日から頑張ろうな。」
「うん!」
それから、尊は私の病室に泊まってくれた。
尊の温もりに包まれながら、私は眠りについた。