うちの弟がモテすぎて困る。


志穂が持ってきてくれたケーキの箱をあけると全部で6つのケーキが入っていた。

ショートケーキにモンブランにいちごタルト。
どれも宝石みたいにキラキラしていて美味しそう。


「これ全部食べていいの?」

「ダーメ。お母さんやお父さんの分も買ってきたんだから。葉月には2つ買ってきたからそれで我慢してね」

「はーい」


私が1つでは足りないことをよく分かってらっしゃる!

私は迷うことなくショートケーキといちごタルトを手に取った。指さきに付いたクリームを舐めると悶えるほど美味しくて感動。


「ゆづくん呼んでくる?」

「えーいいよ。冷蔵庫に入ってればあとで勝手に食べるから」

「うーん、でも上にいるのに声をかけないのもなぁ」


さっきの昼食でも結月の分がなくて申し訳ないって言ってたし、志穂は優しいからそう思うのかもしれないけどアイツのことなんて全く気にしなくていいのに。


「私一応声かけてくるね」

志穂はそう言って座っていた腰をあげた。


「えーマジで?」

そんな私の声は届かず、2階へとあがる志穂の足音だけが響いていた。


どうせ呼んでもこないよ。

だって、晩ごはんは家族みんなで食べないとお母さんが怒るから結月は降りてくるけど、基本的にはすぐに自分の部屋に行っちゃうし。

こっちがいくら話しかけても短い返事で終わるし、休日の昼ごはんはいらないっていう結月にお母さんがわざわざ部屋に運んだりしてる。


甘い!って思うけど、女親は息子の方が可愛いっていうしお母さんもそうなのかも。

まぁ、その分お父さんは私に甘いんだけどさ。

< 13 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop