うちの弟がモテすぎて困る。


暫くしてバタバタと階段を下りてくる音が聞こえた。

こんなのは時間の無駄だよ。そんなことよりも私は早く目の前のケーキを食べたい。


「葉月、連れてきたよ」

「へ?」

ビックリして振り向くとそこには志穂と結月の姿。


また昼寝でもしてたのか結月の頭には寝癖のような跡があった。

……ってかなんで来るの?ありえないんだけど!

そう口に出して言いたいのに志穂がいるから言えない。


結月が選んだのはチョコレートケーキだった。

どこへいっても選ぶのはいつもチョコレートケーキだし、志穂も知っていて結月に買ってきたんだと思うけど。


しかもなにを考えているのか志穂に言われるまま、結月は食卓の椅子へと座った。

晩ごはん以外は絶対座らないし、私が先に座ってると避けるように自分はソファーに行くくせに。


「ゆづくん飲み物なにがいい?ジュースとか買ってきたんだけど私はこれがオススメかな。新発売なんだって」

それはオレンジピールの入った紅茶。

結月が紅茶なんて飲むわけないじゃん。いつも炭酸かお茶か両極端なんだから。


「じゃ、それでいいよ」

「冷たいのがいいよね?氷いれるね」

……飲むんかい!


なんなの。志穂の前だからっていい子ぶっちゃってさ。

いつもなら新発売の飲み物とか必死で流行りに乗ろうとしてて笑えるとかバカにするじゃん。

なのに「それでいいよ」とかなに?
志穂の前でも本性見せろって感じ。

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