うちの弟がモテすぎて困る。
そのあとも結月は優雅に志穂が注いでくれた紅茶を飲んで、リビングに居続けている。
志穂が質問することにはイヤな顔ひとつしないで答えてて、私はその猫を被った態度が気に入らなくて、ずっとムスッとしていた。
「そういえば昔みんなでかくれんぼとかしたよね」
「ああ、いつも必ず結月が鬼役だったよね。だってじゃんけんグーしか出さないし、少しは学べよっていう……」
ぷっと吹き出すと、テーブルの下で結月に足を蹴られた。睨んでも本人は知らん顔をしてる。
「あと、捨て猫を見つけて交番に届けにいったこともあったよね」
「ああ、結月だけにはなつかなくて手を思いっきり引っ掻かれた時ね」
ガンッ!今度は強めに蹴られて、私はテーブルを叩きながら立ち上がった。
「もうさっきからなんなの?」
テーブルの下の出来事を知らない志穂はビックリした顔をして「ど、どうしたの?葉月」と言ってるけど、私の視線はずっと結月。
「さあ、なんだろうね。トイレ我慢してるんじゃない?」
結月の淡々とした態度に私は深いため息をついて、再び椅子に座った。
ダメダメ。志穂がせっかく遊びにきてるのにここで喧嘩をしたら空気が悪くなっちゃう。