うちの弟がモテすぎて困る。
私だって可愛らしい洋服に興味がないわけじゃないし、髪の毛もいつかは伸ばしたいなぁって思ってる。
だけど、だけどさぁ。
「おい、巨人女。てめぇまた俺のアイス食っただろ。5分以内に同じやつ買ってこいや」
家に帰ると、まるで王様ように結月がエアコンの効いた部屋でソファーに寝転がっていた。
私が女の子になれないのはこいつのせいでもあるんだよ。私が可愛い物を持ってると絶対鼻で笑うし。
志穂から分けてもらったフルーツミックスのボディークリームを塗ってたら、お前が塗って意味あんの?とか言ってくるし。
だいたい巨人女って、自分だって巨人のくせによく言うよ。いや、コイツが逆にチビだったら良かったのに。
そしたら一生結月のつむじを見てバカにできたはず。
「あんたさ、その口の悪さなんとかしなよ。志穂が聞いたらマジでドン引きされるからね」
「は?俺の口の悪さはお前限定だから安心しろ」
「な……っ」
「いいから早くアイス買ってこい。ブタ」
くそ。今度からマジで録音して志穂に聞かせてやろう。
お前の片思いなんか知るか。むしろ私は志穂の恋愛を全力で応援する!
志穂の彼氏さんはいい人だし、このまま長く続いて結婚とかしてくれたらいいなぁ。