うちの弟がモテすぎて困る。



「おい、明日は入浴剤入れんなよ」

夜の9時。リビングから自分の部屋がある2階へと移動した。階段をのぼりドアノブに手をかけようとした時、タイミング悪く結月も上に上がってきたようだ。


「あんたいつもシャワーじゃん」

「今日は浸かろうと思ってたんだよ。ったく、高い入浴剤とかお前が使っても意味ないからな」

「はぁ?」


結月はいちいちうるさいし、私が流行りの物を買ってきたりテレビで紹介してたものを試したりしてると決まって文句を言う。

そりゃ、入浴剤はいつも安いものしか使ったことがなかったし香りの名前もカモミールなんちゃらとかで、ぶっちゃけなんの匂いなのかイマイチ分からないけどさ。


「あれは志穂から貰ったの!」

志穂(しほ)は私の親友。


保育園からずっと一緒で家族ぐるみで仲良し。

志穂は私と違ってすごく可愛くて性格もいいから私の自慢。たまには女の子らしいものを使いなよって誕生日にプレゼントしてくれたのが今日使った入浴剤だった。


「あと週末に泊まりにくるから男友達とは呼ばないでよね」

「泊まりって誰が?」

「だから志穂!」


志穂がうちに泊まりなんて久しぶりで楽しみすぎる。

志穂のお母さんのご飯は美味しいしお父さんは一緒にウノやろうとかいうし。だから最近は私が志穂の家に行くことの方が多かった。


「シカト?聞いてる?」

「うるせー聞いてるよ」

結月は自分で話しかけてきたくせにそのままバタン!とドアを閉めて部屋に入ってしまった。


もう、なんなの。

今度お母さんに結月と隣同士の部屋じゃイヤだって言ってみようかな。

だって私が音楽を聞いてるとうるさいって意味の壁を1回叩いてくるし、あいつがドアを勢いよく閉めるのが癖だから、いつも夜中にビックリして飛び起きたりする。

もう完全に睡眠妨害。

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