それでも君が好きだった





「なんで兄ちゃんなんかと友達なんだ?」





週に一度、決まって水曜日に悠斗は家に来た。






あたしたちは玄関でなんとなく話しをするのが恒例と化していた。









「店によく来るから…うーん、答えになってないね。」








「だね。」









店、とは名古屋大須にあるEmRという古着屋のこと。






悠斗はそこで働いてる。








「理由なんてないでしょ?人をスキになるのに」







悠斗はそう言って微笑んだ。









「おっしゃるとおりで」





そりゃそうだ。


あたしも理由なんて分かんないし。









「じゃあ、僕行くよ。」









「ん、バイバイ」









そう言って二階に消えてしまう悠斗。









あたしはまだ気付いていなかった。







悠斗のスキ、は





あたしの好き、と
何ら変わりのなかったことを。









ずっと気づかないままでいたら良かったと思う。










< 4 / 14 >

この作品をシェア

pagetop