それでも君が好きだった





「ペペロンチーノ激安…」




あたしはまったく選択肢に入っていないメニューの値段に無意味に小さな驚きを覚えながら、





向かい側に座る悠斗をチラリと見た。






「明太スパとカルボナーラ、どっちに…」












悠斗は窓の外を見ていた。













ただ一心に、一点を見つめていた。
















「…悠斗?」







その横顔を見ながら、あたしもきっと同じような顔で




家の階段を登っていく悠斗の背中を見ているのだと直感した。








「おい!」










「え?…あ、決まった?」







「ペペロンチーノ…」








「へえ、またなんで?」





悠斗はいつもの表情に戻る。









「好きに理由なんて、


ないんでしょ?」











悠斗はやっぱり



笑っていた。







< 6 / 14 >

この作品をシェア

pagetop